LiquidityScan

· エントリーモデルとタイミング · 2 MIN READ · UPDATED 2026年8月24日

ICTモデルの選び方:制約で決める判断フレームワーク

ICTモデルの選び方:制約で決める判断フレームワーク

合う ICT モデルとは、自分の生活時間と市場と気質に嵌まるものだ。最も声の大きい流行ではない。制約で選び、一つを安定まで極め、そのあとで足す。

どのICTモデルをトレードすべきか?

選ぶべきは、自分の使える時間、好みの時間足、市場、性格に合う ICT モデルだ。YouTube で騒がれているモデルではない。週ごとに5つのセットアップを渡り歩く初学者よりも、Silver Bullet のようなセッション特化型を守れる兼業トレーダーのほうが結果を出す。新しさより適合だ。

どのモデルをトレードするかの決定は、知識の問題ではなく制約の問題だ。現実の制限を各モデルファミリーの性質に照らして並べれば、候補は1つか2つに絞れる。この記事では制約を順に確認し、決定テーブルを示したうえで、画面時間を投じる前に選択を圧力テストする方法まで通す。

なぜ「モデル渡り」が ICT トレーダーを停滞させるのか

ICT が公開しているモデルだけでも相当な数になる。2022モデル、Silver Bullet、Unicorn Model、Turtle Soup、Judas SwingPower of 3(Po3/AMD)CRTOptimal Trade Entry(OTE)、さらに order block や FVG を使った各種エントリー。どれも筋の通ったロジックを持つ。失敗の原因はモデル側にはない。全部を試して、どれも極めないことにある。

渡り歩きは、エッジに絶対に要る「大きくて一貫したサンプル」を壊す。月曜に Silver Bullet、水曜に Turtle Soup、金曜に Po3 系のアイデア。これではどのセットアップも、綺麗な50事例に永遠に届かない。

サンプルがなければ、成績が落ちているのが「モデルが機能しないから」なのか「まだ読み方が未熟だから」なのか判別できない。どのドローダウンも乗り換えの合図に見えて、実際に乗り換える。するとカウンターはゼロに戻る。筆者もこの時期があった。どのモデルでもサンプルが尽きる前に興味が尽き、結局、何ひとつ測定できないまま季節が変わった。

複利で伸ばすトレーダーは地味だ。一つのモデルを、1〜2セッションに絞り、短い銘柄リストで何ヶ月も回し続ける。どの ICT モデルを上手くトレードするかを選ぶことは、実質的には何を無視するかを選ぶことだ。

モデルを決める4つの制約

比較の前に、自分の制約を正直に書き出せ。この4つは、どんなインジケーターより多くを決める。

1. 時間の確保

1日に何時間、そして何時台に相場を見られるのか。9時から17時勤務の会社員がニューヨークセッションをリアルタイムでデイトレードするのは無理がある。ならば、一つの Kill Zone の中で完結する時間区切り型へ向かうのが筋だ。たとえば Silver Bullet の固定1時間枠、あるいは出勤前に仕込めるロンドンオープンの構想など。

時間が細切れなら、上位足のスイングエントリーを仕込んで置く運用も合う。逆にフルタイムトレーダーなら、手動管理が要る日中の継続・反転モデルを回せる。

2. 時間足の好み

スキャルパーか、デイトレーダーか、スインガーか。スキャルパーはマクロや Silver Bullet の窓の中で、1分〜5分足に住む。デイトレーダーは4時間足のバイアスをもとに、15分〜1時間足でエントリーを組む。スインガーは日足・4時間足の order block や OTE で入って、数日保有する。感情的に耐えられる時間足を選べ。保有期間のミスマッチは、早すぎる利確と損切りを生む。

3. 市場

暗号資産は24時間365日動き、セッションの終わりがない。だから日足オープン起点の Judas Swing や、ロンドン・NY の kill zone のようなセッション依存モデルは緩くしか当てはまらず、ボラティリティの集まり方も違う。一方の FX と指数先物はセッションの寄り付きが明瞭で、時間軸ベースのモデルが鋭く決まる。

見られるのが夜だけなら、kill zone が睡眠時間に被る FX ペアよりも、24時間動くクリプトペアのほうが性に合うだろう。

4. 性格

機械的なルールで回したいか、裁量で読みたいか。反転を拾いたいか、継続に乗りたいか。反転系(Turtle Soup、Judas Swing)は「弱く見えるところを買う」ことを要求する。多くの人には心地悪い。継続系(トレンド中の order block・FVG への再エントリー)は自然に感じられる反面、押しを待つ忍耐が要る。繰り返せる感情の姿勢を選べ。

ICT モデル決定テーブル

一番強い制約を、推奨モデルファミリーに対応させる。あくまで最初のふるいとして使え。法律ではない。強く当てはまる行は、大抵どこか1行だ。

あなたの制約推奨モデルファミリー合う理由
9時から17時勤務、通勤前後で約1時間単一の kill zone / Silver Bullet の時間枠固定の1時間に収まる時間区切り型。終日張り付く必要がない。
フルタイム、ライブでセッションを見られる日中の継続系(order block/FVG エントリー)+ Po3能動的な管理と、displacement のリアルタイムの読みが報われる。
スキャルパー、速いフィードバックが好きSilver Bullet + マクロ(1分〜5分足)窓が狭く、週に多くのサンプル、決着が速い。
スインガー、チャート確認は1日1〜2回HTF の OTE / order block(仕込んで置く型)日足・4時間足エントリーでストップは広め。日中の監視不要。
クリプトのみ、夜に取引日足オープン起点の Judas Swing / 継続系エントリー24時間市場はオフセッションの生活に嵌まる。日足オープンがバイアスの錨になる。
機械的ルールを好む2022モデル / Silver Bullet のチェックリストsweep、displacement、FVG エントリーの明確な順序。コード化しやすい。
裁量の読みを好むUnicorn / POI での継続系トレード固定トリガーより、コンフルエンスの判断が報われる。
反転タイプTurtle Soup / Judas Swing直前の流れに逆張りして liquidity sweep を取る。
継続タイプorder block / FVG 再エントリー、Po3確立したトレンドの押し目に沿って入る。

ICT モデルファミリー早見

名前のついたモデルはすべて、3つのファミリーのどれかに還元される。ファミリーが分かれば、自分の気質に合う ICT モデルも見えてくる。

反転系モデル

どれも、直前の動きに逆らって liquidity sweep の反動を取る。Turtle Soup は、売り側のストップを刈り取った直前安値の偽ブレイクのあとに買う。Judas Swing は、当日の本当の方向とは逆に走る序盤の偽の動きを使う。Unicorn Model は breaker block に重なる Fair Value Gap(FVG)を重ね合わせ、高コンフルエンスの反転エントリーを作る。

強み: 転換点でのリスクリワードが際立つ。代償: 不快感の中で動く覚悟が要り、タイミングに容赦がない。

継続系モデル

関心領域(POI)への押し目で、トレンドに沿って入る。強気・弱気の Order Block 再エントリーと FVG のフィルが主力だ。Power of 3(Po3/AMD)、すなわち蓄積・操作・分配は日次サイクルの枠組みで、操作の押し目を買い、分配局面を保有できる。強み: 直感的で、トレンドと同じ向き、寛容。代償: 揉み合いやレンジではシグナルが減る。

時間軸型モデル

定義された窓の中でしか発火しない。Silver Bullet は1時間のセットアップで、displacement のあとの FVG エントリーを探す。ICT マクロは、アルゴリズミックな価格配信が起きる20分の窓だ。強み: 「いつ見るか」という問題を消せる。兼業に理想。代償: 窓内に綺麗なセットアップがなければ、その日は何も取らない。ここには規律が要る。

まず一つのモデルを極めてから広げる

どの ICT モデルをトレードするかを選ぶ段階で、最も効くルールはただ一つ。一つを選び、ほかに触らずに安定域まで持っていくことだ。安定とは、機械的に実行でき、おおよそ50事例以上を記録し、ジャーナルが安定した期待値を示している状態だ。利益はまだ要らない。再現できる読みがあればいい。

最初の一モデルが効くのは、変数が隔離されるからだ。損を出しうるセットアップが一つしかなければ、負けトレードの一件一件が具体的な教訓になる。sweep が浅かった。displacement が弱かった。FVG 完成前に突っ込んだ。10モデル同時だと、このフィードバックはノイズに溶ける。

一つのモデルの中で displacementDraw on Liquidity を読む基本を積めば、広げる段階でそのスキルはそのまま転用される。実務的には、ブロックを決めて一モデルに専念する。たとえば60取引日か50トレード、遅い方まで。結果がどうあれ、途中の乗り換えは禁じる。レビューはブロックの終わりに。最中にやらない。

二つ目のモデルは後から足す

一つが安定すれば、拡張は横並びではなく積み上げになる。最初のモデルがカバーしない状況を埋めるモデルを足す。継続系を回しているなら、Turtle Soup のような反転モデルで、レンジの両端という継続系が沈黙する場所にも参加できる。Silver Bullet をスキャルしているなら、HTF の OTE スイングモデルで勝ちトレードを長く抱えられる。

二つ目は隔離して導入する。ジャーナルのタブを分け、サンプルも独立させる。それぞれを別々に測定できるようにだ。記録された実績ができるまで、新しいモデルを実サイズで回すな。掛け持ちではなく、計画的な移行だ。

最初のモデルの選び方と、ありがちな失敗の避け方

表に最も強い制約2つを通し、重なるモデルファミリーを選んだら、専念する前に3点チェックで適合を確かめる。

適合チェックリスト

  • スケジュール適合: このモデルの窓に、毎取引日、生活を組み替えずに画面の前に居られるか。NY セッションが必要で自分が9時から17時勤務なら不合格だ。出勤前か HTF のモデルへ替える。
  • 機械的適合: エントリー条件を、見知らぬ人が追える if-then のチェックリストとして書けるか。書けないなら、最初のモデルとしては裁量が強すぎる。
  • 市場適合: 自分の銘柄は実際にこのパターンを出すのか。セッションモデルはセッション駆動の市場を要する。クリプトはオフセッションの24時間継続トレードに向く。

実例: 9時から17時勤務のクリプトトレーダー

マリアは朝9時から夕方6時まで働き、取引できるのは夜だけ。支配的な制約は、平日の限られた時間と、クリプト専用の口座(BTCUSDT、ETHUSDT)。表に当てはめると、「9時から17時勤務」の行は時間区切り型を指し、「クリプトのみ、夜」の行は日足オープンと継続系を指す。重なるのは、日足ローソクに錨を下ろした継続系モデルだ。

彼女が選んだのは、Po3 の枠組みに収めた order block 再エントリーだ。日足のバイアスを引き、操作局面が liquidity を掃って1時間足の強気 order block か FVG に触れるのを夜の窓で待ち、分配局面に沿って入る。

生活時間に嵌まる(日足オープンと夜の一窓を確認するだけ)。市場に嵌まる(BTC は24時間動くので、寝ている間のセッションがない)。性格にも嵌まる(トレンドに沿うほうが好き)。Silver Bullet を検討する前に、この形だけで50事例をこなす。

避けたい典型的な失敗

  • 話題性で選ぶ: Unicorn Model がバズっても、1日30分しか取れない人に合うとは限らない。人気は制約ではない。
  • ドローダウンのたびに乗り換える: サンプル途中の切り替えは、モデルが機能するか否かを知る唯一の手掛かりを破壊する。
  • 見られないセッションを選ぶ: NY セッションのモデルは、その時間に眠るトレーダーにとって無価値だ。スケジュール適合は交渉不能。
  • 裁量モデルを早すぎる段階で回す: 初学者に要るのは、体感データを積むための機械的ルールだ。裁量はパターン認識が出来上がってから。
  • 反復の代わりにコレクション: 10モデルを知っていることはスキルではない。一つのモデルを200回実行することだ。

どの ICT モデルをトレードするかの決定は、突き詰めれば引き算だ。制約を定義し、決定テーブルで生活に合わないモデルを落とし、生き残った一つに専念し、次を足す前に安定域まで持っていく。

最良のモデルとは、自分のセッションで、自分の市場で、何度でも実際にトレードできるモデルだ。

よくある質問

初心者に一番易しい ICT モデルは?

Silver Bullet が最初の一歩として挙げられることが多い。機械的で時間区切りだからだ。固定の1時間枠、displacement と FVG エントリーの明確な順序。厳格なルールが初学者の苦手な裁量を減らし、固定窓が「いつ見るか」という問題を解決する。兼業向きでもある。

複数の ICT モデルを同時に扱っていいか?

最終的にはいい。学習中は駄目だ。単一モデルを、安定した記録済みサンプル、およそ50トレード以上と一貫した実行に達するまで回す。早い段階で二つ目を足すと注意が割れ、エッジが自証するのに必要なサンプルが溜まらない。

クリプトに最も合う ICT モデルは?

継続系モデルだ。Power of 3 で枠を組んだ order block・FVG 再エントリーがクリプトに嵌まりやすい。市場は24時間動き、綺麗なセッション終了がないためだ。セッション依存モデルも緩く機能するが、日足オープンのバイアスとトレンド継続のセットアップのほうが、クリプトの四六時中のボラティリティに対応する。

一つのモデルをどれくらい続けてから変えるべきか?

ブロックを決めて専念する。最低でも50トレードか60取引日、長い方まで。結果にかかわらず途中で変えない。レビューは最後に。これだけのサンプルがあれば、本当に合わないのか、普通の分散なのか、スキルがまだ育ち途上なのかを切り分けられる。

モデルファミリーを選んだあとは、以下のガイドが、構築、適合、専念の順序を整える助けになる。

  • ICT トレードの学び方: 5フェーズのロードマップ: モデルを固定する前に基礎スキルを築く。
  • 完全な ICT トレーディングモデルの組み立て方: 選んだファミリーをルールベースの完全なプランに変える。
  • 兼業トレーダーのための実践的 ICT モデル: 一モデル・一窓方式の詳細。
  • ICT Silver Bullet 戦略ガイド: 兼業層が最初に選ぶことが多い、機械的な時間区切りモデル。
  • ICT 2022モデル vs 2024モデル: 主な違い: 専念する前に二つの看板モデルを比べる。
  • ICT トレードでエッジを見つける方法: 特化のためのフレームワーク: 一モデルが安定したあとに深く特化する。
  • 会社員ながら ICT/SMC をトレードする方法: 本業ありきでどう取引するかという関連の切り口。
  • ICT エントリーチェックリスト: どのモデルにも効く7つの事前確認: モデル選択後に全セットアップを検証するために使う。
Hayk Muradian

Hayk Muradian

Founder & Lead Analyst at LiquidityScan · 12+ years ICT/SMC trading · Institutional order flow specialist

Hayk Muradian is the founder of LiquidityScan, a professional trading intelligence platform built for ICT (Inner Circle Trader) and Smart Money Concepts (SMC) traders. With over a decade of hands-on experience reading institutional order flow across crypto, forex, and futures markets, Hayk specializes in identifying liquidity events, order blocks, and CISD setups on closed candles.

He built LiquidityScan after years of frustration with retail charting tools that ignored the mechanics institutions actually use. The platform now scans 400+ markets in real-time, surfacing the same patterns floor traders watch — without the noise.

Hayk writes about the methodology behind ICT and SMC, with a focus on practical, data-driven analysis rather than hype.

View all 89 articles by Hayk Muradian →

Not trading advice. LiquidityScan publishes educational content for informational purposes only. Trading involves substantial risk of loss.