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· エントリーモデルとタイミング · 2 MIN READ · UPDATED 2026年8月25日

ICT取引時間帯の解説:アルゴリズムが刻む1日を時間軸で読む

ICT取引時間帯の解説:アルゴリズムが刻む1日を時間軸で読む

ICTの取引時間帯は、1日をアジア、ロンドン、ニューヨークの3ブロックに分け、それぞれに固定の役割を割り当てる。アジアはレンジを作り、ロンドンが最初の操作を仕掛け、ニューヨークが本命の動きを届ける。水準だけを見るな。時刻表でトレードしろ。

ICTの取引時間帯とは何か

ICTの取引時間帯は、24時間動き続けるFX市場をアジア、ロンドン、ニューヨークの3ブロックに分割する。各ブロックには固定の役割がある。アジアは狭いレンジを作り、ロンドンが最初の操作を走らせ、ニューヨークが本命の拡張か反転を届ける。

この枠組みの前提はこうだ。マーケットメイカーは価格を無作為にではなく、決まった時刻表に沿って供給する。出来高もボラティリティも一日に均等には散らない。ロンドンとニューヨークのオープン周辺に塊になる。機関の注文フローが集中するのがその時間だからだ。

アジア時間のあいだ誰にも触られなかった流動性の位置は、ロンドンのエンジンが回り始めた瞬間から別の振る舞いをする。時間は価格にかかるフィルターだ。今どの時間帯にいるかで、相場の体制がわかる。

以下の時刻はすべて米東部時間(EST/EDT)基準で書く。ICTの枠組みがニューヨークの深夜0時オープンに錨を下ろしているためだ。3つの時間帯は実際の市場の開場時間とも重なるが、トレード目的においては正確な開始時刻ではなく、行動様式の区切りとして扱われる。

3つの主要時間帯と、それぞれの性格

時間帯ごとに性格がある。まず性格を押さえる。時計の窓はそのあとで詰めればいい。挙動こそが、レンジを探すべき局面か、操作を待つべき局面か、継続に乗るべき局面かを教えてくれるからだ。

アジア時間(東京):レンジを作る時間帯

アジア時間はおよそ EST 午後8時から深夜0時まで続く(明け方へ向けて流動性は薄くなる)。性格は保ち合い。出来高は少なく、値幅は狭く、価格は細い帯の中で揉まれ続ける。この帯、いわゆるアジアレンジが、意図的に築かれた強力な流動性になる。高値と安値には逆指値が静かに積み上がり、ロンドンが後から狙いに来る。

  • 挙動:横ばいの蓄積。小ぶりのローソク足が並び、同値の高値・安値が頻発する。
  • 生み出すもの:輪郭のはっきりしたレンジ。その両端が次の時間帯にとっての流動性プールになる。
  • 陥りやすい罠:アジアレンジのブレイクアウトを追うこと。大半は失敗する。レンジそのものが餌だからだ。

ロンドン時間:最初の操作

ロンドン時間の高エネルギー期はおよそ EST 午前2時から5時。その日最初の本物の拡張がここで起きる。そしてそれはたいてい、操作として幕を開ける。

ロンドンは頻繁にアジアレンジの片側を突き抜け、流動性をかき集める(liquidity sweep)。その後、日中の本当の方向へ反転する。この偽の突っ込みには ICT で名前がついている。judas swing だ。

  • 挙動:鋭い拡張。アジアの高値か安値へのストップ狩り。その後に反転、あるいは方向の明快なトレンド。
  • 生み出すもの:その日最初の目標流動性(draw on liquidity)。トレンド日はここが安値または高値になることが多い。
  • 重要な理由:トーンを決めるのはロンドンだ。ニューヨークはたいてい、ロンドンが示した方向を尊重する。

ニューヨーク時間:継続か、反転か

ニューヨーク時間の午前の受け渡しはおよそ EST 午前7時から11時。午後に二次的な窓もある。ニューヨークはロンドンの動きを継続させるか、反転させるかのどちらかだ。どちらになるかは、それまでに流動性がどう配分されたかで決まる。AM の窓には8時30分の指標発表といった予定されたニュースが集中し、米国勢の参加も最も厚い。一日で最もきれいな displacement が出るのはここだ。

  • 挙動:ロンドンのトレンドの継続。あるいはロンドンの動きを丸ごと挟み撃ちにするニューヨーク発の反転。
  • 生み出すもの:多くの日に日足の高値か安値。そして AM の窓周辺で最も質の高いエントリー。
  • 昼の注意点:EST 正午から午後1時は確信のない揉み合いになる。ここでの水準は、AM の窓での水準とは別物だ。

アルゴリズムの1日:蓄積、操作、分配

ICTの時間帯が意味を持つ理由は、市場が毎日繰り返す一つの供給サイクルに、時間帯がそのまま対応しているからだ。ICT はこれを Power of 3 と呼ぶ。蓄積(Accumulation)、操作(Manipulation)、分配(Distribution)。頭文字を取って AMD。時間帯は、このサイクルが回るための時計だ。

  1. 蓄積(アジア):ポジションが静かに積まれるあいだ、価格は保ち合う。細いアジアレンジは、蓄積の見える形だ。
  2. 操作(ロンドン):本来の方向とは逆へ価格を押し込み、流動性を人工的に作る。judas swing がアジアレンジを掃き、ストップを巻き込み、遅れて乗ろうとした者を誘い込む。
  3. 分配(ニューヨーク):価格は本当の方向へ伸び、操作が作った流動性の中へ売り買いが吐き出される。自分が本当に取りたい動きが届くのはここだ。

こう読めば、午前3時のローソク足と午前8時半のローソク足は別の仕事をしているとわかる。3時の sweep は餌。8時半の displacement がご馳走だ。今どの局面にいるのかを知っているかどうか。それが、罠に逆張りして焼かれるか、供給の流れに乗れるかの分かれ目だ。

時間帯と kill zone の入れ子構造

時間帯は幅の広い窓だ。その内側に、ずっと狭く、確率の高いサブウィンドウが収まっている。それが kill zone。アルゴリズムがセットアップを最も多く供給する、特定の1〜2時間のことだ。戦場に対する狙撃手の射撃窓のような関係だ。地形は同じでも、許されるタイミングの幅は桁違いに狭い。

  • London Open Kill Zone:およそ EST 午前2時〜5時。ロンドン時間の内部で、操作が拡張へ転換する窓。
  • New York AM Kill Zone:およそ EST 午前7時〜10時。米国の主な受け渡しの窓。
  • New York PM / Silver Bullet:およそ午前10時〜11時と午後の窓。継続型のセットアップ向け。

関係は厳密な入れ子だ。kill zone は時間帯の中にあり、さらに短いマクロ(Macro、20分単位のブロック)が kill zone の中にある。有効な ICT セットアップが求めるのは、価格が水準へ到達するのが kill zone のあいだであることだ。時間帯の中にいればいい、ではない。

各 kill zone の深部のメカニズムは、下の関連ガイドに譲る。ここで言いたいのは一点だけ。舞台を整えるのは時間帯で、引き金を引くのは kill zone だ。

オープン価格という基準点

窓そのものに加えて、ICT は特定のオープン価格を、アルゴリズムが尊重する固定の価格基準として扱う。これらの始値が、その後数時間のバイアスの錨になる。

  • Midnight Open(EST 0:00):ニューヨークの深夜0時の価格は、その日の均衡の基準だ。これより上なら日中は強気、下なら弱気に傾く。横線を一本引いて、一日を premium 側と discount 側に分割する使い方が一般的だ。
  • London Open(EST 午前2〜3時頃):ロンドンの始値は、judas swing の起点となることが多い。価格が反転する前に一度引き離される基準の水準だ。
  • New York Open(EST 午前7時〜8時半):NY の始値が AM の受け渡しの枠を定める。ここを離れる displacement が、その時間帯の意図を裏付ける。

組み合わせれば、抽象的な時間の話が具体的な横線に変わる。例えば、アジア高値を sweep したあと midnight open の下へ戻る展開は、sweep 単体で読むよりはるかに強い売りの根拠になる。

ロンドン・ニューヨーク重複時間

一日で最もボラティリティが高いのが、おおよそ EST 午前8時から11時のロンドン・ニューヨーク重複時間だ。二つの金融中心が同時に動く。機関の注文フローが二つの塊になって同時に取引するから、流動性は最も深く、displacement は最もきれいに出る。

実務的には、順張りが最も報いるのがこの時間だ。ロンドンがアジア高値を sweep して構造を下抜けし、弱気の方向を示していたなら、ニューヨークがその方向へ殺到するのは重複時間だ。一日で最大の値動きの脚がここで伸びやすい。

同時に、ニューヨーク発の反転が来るとすれば最も激しいのもここだ。ロンドンの動きが完全に挟み撃ちになった末で、価格が反対側へ弾く。報酬は大きい。ただしそのためには、重複時間が始まる前にバイアスを固めておく必要がある。始まってからでは遅い。

時間帯別プレイブック

下の表は一日を判断グリッドに圧縮したものだ。時刻は EST 表記。夏時間の期間はずれる(後述)。

時間帯ESTの窓典型的な挙動注目すること
アジア(東京)20:00〜0:00狭い保ち合い、レンジ形成アジアレンジの高値・安値を翌日の流動性として印をつける
ロンドンオープン2:00〜5:00最初の操作、judas swing、アジアレンジの sweepストップ狩りの後に反転か明快なトレンド。日中の draw を記録する
NY AM7:00〜11:00ボラティリティ最盛期。8:00からロンドンと重複。継続か反転NY オープン起点の displacement。AM kill zone でのエントリー
NY昼12:00〜13:00確信のない揉み合い手を出さない。ここでの水準は当てにならない
NY PM13:30〜16:00午後の継続、あるいは AM の反転Silver Bullet 式の継続、または AM の高値・安値への逆張り

時差の変換:自分のタイムゾーンへ落とし込む

ICT の窓はすべてニューヨーク時間建てだ。だから必要なのは一度だけ変換すること。あとは自分の時計でトレードできる。正確さを保つルールは二つある。

  1. GMTではなくニューヨークに固定する。枠組みが深夜0時と NY オープンを基準にする以上、変換元は常に EST/EDT であってロンドン時間ではない。ロンドン在住なら EST+5時間。ドバイなら季節によって EST+8 か +9 だ。
  2. 夏時間を織り込む。米国、英国、EU は時計を切り替える日が違う。だから年に数週間、EST と現地時刻の差が変わる。ロンドンの kill zone が1時間「動いて」見えるのはこのせいだ。固定の数字を暗記するのではなく、切り替えのたびに差を検算し直すことだ。

一番汚れない習慣は、チャートツールのセッション表示を最初からニューヨーク時間に設定しておくことだ。エントリーはその枠を読んで判断する。トレード中に頭の中で時差計算をするのはやめておきたい。

週末と日曜の注意点

FXの週は EST の日曜夕方に開く。最初の数時間は商いが薄く、信用できない。日曜のオープンは警戒対象だ。

  • 日曜のギャップ:金曜終値から離れた価格で開くことがある。週末ギャップだ。ICT では New Week Opening Gap(NWOG) と呼び、アルゴリズムが週の途中で再訪することが多い基準になる。
  • 日曜夜の薄いアジア:週最初のアジア時間は流動性が薄く、偽の動きが出やすい。多くのトレーダーは月曜のロンドンを待ってから本格的に読み始める。
  • 金曜午後:週末に向けてポジションを整理する動きで流動性が枯れる。クローズ間際の新規仕掛けは避ける。

実例で追う一日:アジアからロンドン、そしてニューヨークへ

EURUSD のある一日を追ってみよう。夜通し、アジア時間は 1.0850 と 1.0875 のあいだで揉む。25pips のレンジだ。1.0875 のすぐ上と 1.0850 のすぐ下に、ストップが静かに積み上がっていく。これが蓄積。両端はもう、意図的に作られた流動性だ。

EST 午前2時のロンドンオープンとともに価格は上へ押し、1.0875 を sweep する。1.0882 までタッチして、ブレイクアウト買いのエントリーとショート勢のストップをまとめて巻き込む。これが judas swing。操作の局面だ。kill zone のあいだに価格は鋭く跳ね返され、アジアレンジの下へ displacement で戻り、直近の安値を割る。構造は弱気へ転換した。日中の目標(draw)は、1.0850 を下回る売り側の流動性へ更新される。

ニューヨーク AM の窓に入ると、価格はロンドンの displacement が残した FVG(fair value gap) へ押し戻す。1.0860 付近だ。この水準に意味があるのは、AM kill zone の内部に位置しているからだ。ニューヨークは弱気のバイアスを受け入れ、継続を供給し、午前9時半までに 1.0850 を抜けて売り側のプールへ沈む。

分配の完了だ。時間帯を読めていたトレーダーは、重複時間のあいだに FVG への押し戻しで売れた。「水準」しか見ていなかったトレーダーは午前2時のブレイクを買い、ちょうど高値で捕まった。

この一日こそ、ICT の時間帯論の縮図だ。同じチャート、同じ水準。それでも時間帯と kill zone が、餌になる側と供給に乗る側を分けた。

よくある質問

ICTで最適な時間帯はどれか

大多数のトレーダーにとっては、ニューヨーク AM の窓(EST 午前7時〜11時)がボラティリティ、流動性、displacement のきれいさのバランスで最良だ。特にロンドンとの重複時間ではそうなる。早起きして取引できる人にはロンドンオープン(EST 午前2時〜5時)が向く。その日の方向を決め、最初の操作を供給するのはここだからだ。

kill zone と時間帯は同じものか

違う。時間帯は複数時間に及ぶ広いブロックだ。kill zone はその内側に収まる、1〜3時間の精密な窓で、アルゴリズムが最も安定してセットアップを供給する場所だ。すべての kill zone は時間帯の中にあるが、時間帯の全時間が kill zone なのではない。昼休みの時間は NY 時間帯の内部だが、意図的に回避される。

24時間取引の暗号資産でも ICT の時間帯は機能するか

機能する。ただし条件つきだ。暗号資産は閉まらないが、ボラティリティはやはりロンドンとニューヨークの窓に集中する。同じ機関のデスクとマクロフローがその時間に動いているからだ。アジアレンジもロンドンの操作も BTCUSDT で観察できる。ただし伝統市場が閉じている週末は挙動が変わる。

kill zone 内の水準と昼の水準で挙動が違うのはなぜか

受け渡しに時刻表があるからだ。kill zone のあいだは、水準を守るにも割るにも機関の注文フローが動いている。反応が明快になる。昼は参加が消える。同じ水準でも決断のない揉み合いになるだけだ。ICT の言葉で言えば、水準が価格を供給し、時間帯が時間を供給する。両方揃って初めて有効になる。

このページは全体の入口だ。以下の個別ガイドを、並んだ順に辿ると良い。精密な時間の窓から、時間帯をトレード可能にする受け渡しのメカニズムまで、一段ずつ深くなっている。

Hayk Muradian

Hayk Muradian

Founder & Lead Analyst at LiquidityScan · 12+ years ICT/SMC trading · Institutional order flow specialist

Hayk Muradian is the founder of LiquidityScan, a professional trading intelligence platform built for ICT (Inner Circle Trader) and Smart Money Concepts (SMC) traders. With over a decade of hands-on experience reading institutional order flow across crypto, forex, and futures markets, Hayk specializes in identifying liquidity events, order blocks, and CISD setups on closed candles.

He built LiquidityScan after years of frustration with retail charting tools that ignored the mechanics institutions actually use. The platform now scans 400+ markets in real-time, surfacing the same patterns floor traders watch — without the noise.

Hayk writes about the methodology behind ICT and SMC, with a focus on practical, data-driven analysis rather than hype.

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